入れ歯

日常生活の中で,「好きな食べ物をおいしく味わい、食事を楽しみたい」という願いをかなえることは,歯の有無に関係なく,高齢者の生活の質の向上に欠かせない条件のひとつです。
自分の歯を失った場合、食事はもちろん、会話がスムーズに行かなくなり、口もとに張りがなくなります。顔つきが変わり、気力も衰えてくるでしょう。入れ歯を入れないと機能が回復しないばかりでなく、残っている歯や顎の関節にも悪い影響が出てきます。
入れ歯で容貌も回復し、なれてくれば硬いものも食べれます。会話、食事もスムーズに行えるようになります。

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全部床義歯 部分床義歯

分類

入れ歯は、総入れ歯(全部床義歯)と、部分入れ歯(部分床義歯)の二種類に大まかに分けられます。

総入れ歯(全部床義歯)

自分の歯が一本も残ってない人の入れ歯を総入れ歯(全部床義歯)といい、顎の形や口の形に合わせて義歯をつくります。ガラスに吸盤をつけると、取れないように、出来るだけ適合をよくして吸着させ義歯を安定させます。人工の歯や義歯にもいろいろな種類があり、それぞれの特徴と口腔内の状態によって選択します。

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総入れ歯(全部床義歯)上顎 総入れ歯(全部床義歯)下顎

部分入れ歯(局部床義歯)

残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて義歯の維持、保持をしています。総入れ歯に近い状態のものから1本だけのものまで,いろいろな形態があります。またクラスプにも金属が目立たないもの、磁石を使ったものなどいろいろな種類があります。

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部分入れ歯(局部義歯)上顎 部分入れ歯(局部義歯)下顎

入れ歯の手入れ

大切な「第3の歯」ですから,大切に取り扱うことが一番です。かたいものの上に落とす,熱湯をかける,火に近づける,はずしたまま放置する,合わないからといって自分で調節することは,歪みや割れの原因になりますのでやめましょう。

歯磨きが毎日必要な様にように入れ歯も毎日洗う必要があります。入れ歯は天然の歯には増えることのないカンジダ菌(カビの一種)が繁殖しやすくなっています。カンジダ菌は,1度つくとなかなか取れない厄介なもの。そのままにしておくと、義歯性口内炎といって,口腔粘膜の腫れ、口臭の原因にもなります。

ブラッシングによる清掃
義歯に着いた汚れを歯ブラシで丁寧にブラッシングして、清潔にしましょう。歯ブラシは通常の歯ブラシでも構いませんが、「義歯用歯ブラシ」で清掃した方がより良いでしょう。総入れ歯の場合、汚れが溜まりやすいのが、土手のところと人工歯のところなのでそこに気を付けて磨きましょう。
部分入れ歯(部分床)の場合は、クラスプの所が複雑な形態で汚れが溜まりやすいです。その様なところは、特に奇麗に磨きましょう。又クラスプの掛かっている歯も同じように汚れが溜まりやすいので、ムシ歯にならないように歯ブラシをしてください。
義歯を装着すると口腔内が複雑になり、プラーク(歯垢)や食べかすが付きやすくなります。そして口臭、発音障害、歯肉の炎症の原因となります。義歯のお手入れをして不十分な義歯ケアが引き起こす、心身へのさまざまな悪影響を予防しましょう。

洗浄剤による清掃
ブラシによる清掃のほかに、洗浄剤によるお手入れも有効です。歯周病や口内炎の原因となる細菌を除菌すると同時に、歯ブラシでは落ちにくいステイン(茶渋等の汚れ)を除去します。しかし、商品の種類によっては総入れ歯専用で、クラスプなどの金属のある入れ歯を使うと、金属が変色してしまうものがありますので、気を付けましょう。商品の説明書きをよく読んで、使用して下さい

また,定期検査はきちんと受けましょう。歯ぐきは常に少しずつ変化していますから,入れ歯もそれに合わせて微妙な調整を行う必要があります。「痛い、壊れた」ときのみでなく,半年に一回程度は主治医のもとで検査を受けるようにすれば,いつまでも快適に使うことができます。


より装着感、見た目の良い入れ歯(保険適応外)について

コーヌスデンチャー
歯の根がしっかりしている歯を使い、歯には土台になる冠を着け、入れ歯の部分にはそれに被せる冠の部分を組み込み、これで二重冠にして、茶筒の蓋のような強固な維持が発揮できます。また、今まで白い歯に金属色のバネをかけて目立っていたものが、普通に冠を被せたように、見栄えが良くできます。(クラスプでは、維持力が弱いので、二重の冠をつかう)
利点
強固な支持が得られる
きわめて動きも少ない
残っている歯の清掃が容易
欠点
治療内容が複雑
歯を削る量が多い

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コーヌスデンチャー


磁性アタッチメント
上にちゃんとした冠を被せることが出来ないくらい根が短い歯や、動いてはいるが持たせられそうな歯に、磁石を応用して、バネの代わりに義歯の維持をさせるやり方です。ピタッと装着でき手入れも簡単ですし、審美的にもとてもきれいです。
磁性アタッチメント:残っている自分の歯に磁石と相性のいい磁性金属(キーパー)、入れ歯側に超小型歯科用磁石を取り付ける
利点
歯に無理な力が加わらない
臨床操作が簡単
金属が見えない 外観がよい
欠点
MRIの撮影の障害となる
コーヌスよりも維持力が劣る
有髄歯につかえない

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磁性アタッチメントを使用した義歯


その他にもいろいろな種類の”アタッチメント”を使った義歯があります。
興味のある方はこちらにどうぞ

写真提供 活ヌ友会