歯槽膿漏

歯周病(歯槽膿漏)だれもが一度は耳にしたことがある言葉だと思います。
歯肉炎、歯周炎を総称する用語で中高年の方が歯を失う最大の原因がこの歯周病です。
「じゃあ、私はまだまだ若いから大丈夫」と思っている方、いませんか?

歯周病は「慢性疾患」で「生活習慣病」の一種です。
これは若いときから少しずつ、少しずつ進行し、気がついたときには状態はかなり悪くなっている、また普段どのような生活をしているかによって変わってきます。

「歯周病」、その内容は意外と知られていません。
健康的な生活の基本、自分の歯を守るために、歯周病の症状と原因、予防法を簡単に説明します。その前に、「歯肉炎」と「歯周病」はどう違うのでしょうか?

歯肉炎:炎症が歯茎の部分だけに限られている状態。場合によっては歯茎が腫れることもある。
歯周炎:炎症がはぐきから広がり、歯のまわりの組織や骨(歯槽骨)を壊すまで進んでいる状態。
このように「歯肉炎」と「歯周炎」の最大の違いは骨まで炎症が進んでいるか、その手前でとどまっているのか、という事です。

perio 1
歯肉が腫れて、歯槽骨が減ってきている
歯根膜(線維)が伸びて、歯を十分
支えきれなくなりつつある
perio 2
さらに歯槽骨が減ってきて歯を支える
部分が消失する
歯肉がやせてくるが、状態により
急に腫れることもある
歯が少し動き始める

健康な歯茎と歯槽膿漏の状態の歯茎を左に示します

図のなかで左側が健康な歯茎で右側が歯槽膿漏の状態の歯茎です

健康な歯茎
歯(歯根)を支えている骨(歯槽骨)がしっかりしていて、歯茎は引き締まっている。
さらに歯は歯根膜(歯と骨をつなげている線維組織)で歯槽骨とつながっていてこれもしっかりしている。



歯槽膿漏の症状
その人によって症状はいろいろなので一概には言えませんが、歯茎が腫れる、ハブラシをしたり、食物を食べると血が出る口臭がする歯の「根」が露出してくる、歯が揺れてくる、冷たいもの、熱いものでしみる歯が抜け落ちるなどの状態があります。またあてはまる症状がひとつだからといって軽い症状だと言い切る事もできません。

また本人が自覚する事は難しい事が多いのですが、歯と歯茎の境目が広がってきて歯周ポケットができます。
そして骨(歯槽骨)が徐々に減ってきて歯を支える部分が消失していきます。















さらに進むと下図のようになります


perio 3 perio 4
歯槽骨で支えられている部分は
わずかとなり歯はかなり動く
歯根が露出してくる
歯肉と着いているだけで
歯槽骨の支えはない
歯が抜け落ちる寸前の状態


原因:歯周病の主な原因は口の中の細菌です。口の中には無数の細菌が存在していて特に食べ物の糖分がもとになってできた「歯垢」(汚れ)は「細菌の塊」といっていいほどで、「歯垢」1mgの中にはなんと10億個もの細菌が住みついています。 これは大便よりも多いとも言われています。そしてこの歯垢が硬くなり集まったものが歯石でこれはハブラシでとることはできません。では歯垢は? そうです!歯垢はハブラシでとることができるのです!!だから普段からの「歯磨き」が大切になってくるのですね。

予防法:歯周病は細菌感染症なので予防も細菌の除去が決め手となります。まずは毎日の歯磨きでしっかり歯垢を取り除く事です。毎日、毎食後の歯磨きが有効です。特に夜寝ているときに一番口の中の細菌が増加しますので、夜寝る前の歯磨きが重要です。また、普通のハブラシでは取り残す可能性がある、歯と歯の歯垢を取り除くためにはデンタルフロスや歯間ブラシなども効果的です。また、液体のうがい薬もありハブラシの後に行うといっそう効果的です。そして一度ついてしまった「歯石」は自分で取り除く事はできませんので3ヶ月もしくは6ヶ月に一回程度は歯科医院で取ってもらいましょう。又、なにも自覚症状がなくても定期的に検診を受ける事をおすすめします。 

歯槽膿漏と歯の治療の関係について   
歯槽膿漏が進んだ状態では多くの場合は歯茎が腫れた状態になります。
この状態では最終的なかぶせものなどの治療をする事はできません。歯茎の引き締まる前にかぶせものを入れてしまうと、歯茎の状態が良くなったときに、かぶせものと歯茎の境目の歯が露出してしまいます。そうするとそこに歯垢などがつきやすく、また溜まりやすくなり、これが新たに歯槽膿漏を悪化させたりムシ歯を作る元になります。
ブリッジの治療についても上記の事があてはまりますし、とくにブリッジの形態的特徴から歯肉がやせてしまっていると歯と歯(ブリッジのかぶせものなども含みます)、歯と歯茎の幅が広くあいてしまい食べ物が詰まりやすくなります。これも歯槽膿漏の悪化につながります。さらに歯が動いている場合にはブリッジの支えの歯として使うには不適当です。
入れ歯では、歯槽骨の吸収により入れ歯を支える土手(歯槽提)が少なかったり、甚だしい場合には入れ歯を支える骨がないという事も出てきます。こうなると入れ歯の安定も悪く、良く噛めないという事になります。
また 部分入れ歯ではバネをかける歯が動いていれば、これも入れ歯の安定が悪くなる一つの要因になりますし、場合によってはこのような状態の歯の歯槽膿漏をさらに悪化させてしまいます。

歯周病は生活習慣病の一種です。

口の中の生活習慣を整えいつまでも自分の歯で食事できる喜びを味わいたいと思いませんか。